はえのこ

はえのこ」って言葉をご存知ですか? これ多分方言なんだろうけど。漢字表記すれば「蝿の子」なんでしょうか。「五月蝿い」なんて当て字があるように、ヒジョーに小うるさくてウザッたいイメージが沸きますなあ。でこの言葉、僕らが小学校の中学年から高学年くらいのガキの時には、さらに小さい子供達を指して呼んでましたね。やれオニゴッコだの、やれカンケリだのってガキの時やったでしょ? そういう時にね、鬼になっても誰も捕まえられないような小さい子たちがいると全部一括りで「はえのこ」にしちゃうの。「はえのこ」は鬼に捕まえられても鬼になることは無いし、缶を蹴っても誰も逃がすことができないんです。つまり、ゲームに混ざっていながらルールの埒外にいる超自由因子なわけなんですな。限りなく自由。
僕らが遊んでると「まぜて〜」と近所の小さい子達がわらわら集まって来る。無下に追い返すこともできないからしょうがなく遊びに参加させる。でも正規のルールを適用しちゃうとその子一生鬼になっちゃうでしょ? だって運動能力に差がありすぎるもの。それに僕らのオニゴッコって平気で山イッコ使ってたからねえ。下手するとトラウマです。その子の後の人生にまで影響を及ぼしかねません。んで「はえのこ」です。簡単に言うと僕らが遊んでる足元でワケもわからずギャアギャアほたえているのが「はえのこ」なんです。ぜんぜん追われてないのに本気で逃げ回る「はえのこ」
僕ら的にはゲームに支障があるわけじゃないし、「はえのこ」達の喜びぶりを見てると本人的にもまんざらじゃないようですし。
八方円く収まってよかったよかったという素晴らしいシステムですよ。「はえのこ」
よくよく考えるとヒデー言葉だなおい。って感はありますが・・・
とはいえ、もちろん僕らもこの不遇の「はえのこ」時代を経験して大人になったわけでして、僕らを「はえのこ」と呼んでた当時のお兄ちゃん達も無論「はえのこ」経験者なんです。そしてそれは連綿と続く村社会の暗黙のルールとして定着しているのです。「僕はえのこじゃないもん!」と声高に言ったところで、周囲が認めてくれなきゃいつまでたっても「はえのこ」。ゲーム参加資格無しなんです。厳しいですねえ。ただ一つ救いなのは、「はえのこ」真っ盛りの子供達に自覚がないとこですかねえ。

で、時々思うんですよね僕。「俺いまだにはえのこだったらどうしよう」って・・・ 自覚が無いんです。