先日26日深夜、石川県は白山市の山中にてイベントがございまして、我々SP−Dも参加して参りました。舞台は樹齢何千年という大杉のある八幡神社。行き着くのに3時間弱という時間をかけてしまったのは迷子になったせいで、迷子になったのは携帯が圏外になってしまってからもまだまだその先へ明かりも灯らぬ道を進まねばいかんという八幡神社の立地条件のせいで、まあ最終的にはよく道順を確認もせずに出発してしまった我々のせいなのである。地図を片手に先導してくれたKRKのまさを君、心細かったでしょう。申し訳ないねえ。
行き着くとSOICHIROさん、桑名シオンさん、その他ミュージシャンの皆さん、及びお客さん総勢数十名が温かく迎えてくださった。しかしまたしても自然をなめきって軽装で出向いてしまったワタクシ個人としては非常に寒かった。
その日のイベントは、決め決めのタイムスケジュールに沿って行われるライブイベントではなく、ただ大樹の下に寄り添って焚き火を焚き、その明かりの下で酒を酌み交わし、大自然の息吹を感じながら音楽を楽しむ。というもので、だから『ミュージシャンが大勢集った飲み会』と称してもそう齟齬はないのであり、しかしながら各々がプロ級、第一線の方々なので、至極酩酊の極みであっても奏でる音楽は美しい。例えば誰かがジャンベを抱え、オーガニックなアフリカンサウンドを奏で出す。するとそれに呼応してコンガが、アグレッシブなサックスが、という具合に次々と追従し、とそのセッションは飽きることなく延々続き、深々とした山中に響き渡るのである。素晴らしい。
そんな中にあっても鼻毛の森社長は、いつもの唄をいつものように絶叫していた。ある意味素晴らしい。
しかしながら後で聞くと、すでに1ステージを終えていた社長。その1ステージ目では、齢30にして藤井さんと一緒にクリニックに割礼しに行くという男の歌を、あの不朽の名作『大きなノッポの古時計』のメロディーに乗せて唄ったと言う。なめている。大杉をなめている。あのC.W.ニコルが「いっぺんどつきまわしたろかい、ワレェ」とネイティブな関西弁で怒りだすくらいに不敬である。しかしながら、2ステージ目で一人絶叫している彼の背中を見つめる僕の頭の中には、「惜しまれながら死んで行く英雄に憧れ、茨の道を見つけ出し靴を脱ぎ捨てる」というブルーハーツの一節がリフレインしていた。