LIVE IN OSAKA 1日目

8月21日深夜12:00ジャスト。相方、山本剛の自宅に車を乗りつける。翌日月曜にライブが行われる、大阪府吹田市江坂へ向かうためだ。手早く荷物を積み込み出発。言わずと知れた下道好きのSP−D、今回も例外ではない。大好きなんです下道が。本当に。いや本当に。
福井を過ぎるまで8号線をひたすら走り続けるだけなので、とりたてて気を使うドライブでもなく、だから先に眠くなった方がバックシートで仮眠を、もう一人がハンドルを握り、数時間ごとに交代することにする。何よりナビがあるので、ド方向音痴の俺一人でも安心なのだ。とにかく夜のうちに会場近くまで到着しておきたい。まだ先は長い。本格的に車を停めて休憩するのは日が昇ってからになるだろう。

軽快に8号線を走り始める。高岡を出ようかという時に相方が口を開いた。
「せのっちさあ、怖い話聞きたい?」
「うん、聞きたい」
「でもマジで怖いよ?」
「いや、俺好きよ。怖い話」





         ・・・・・・聞かなきゃよかった。


 


その日、我らが敬愛して止まないミュージシャンのSOICHIRO氏から相方が仕入れたばかりだという実体験に基くその話。ここで書きはしないが本当に怖かった。二人して鳥肌が治まらなくなった。マジで。


「でもそれ本当に幽霊なのかね、ねえ?」
さすがに車通りの少ない真夜中の道を、前方を見据えハンドルを握りながら、俺はバックシートで横になった相方に声をかける。
この30分ほど、話題はSOICHIROさんが遭遇したという恐怖体験のことばかりだ。怪談話は反芻すればするほど恐怖感が薄れる。だから二人して意図的にその話に終始するのだろう。
「ねえ?」
「・・・」



           ヤロウ寝てやがる。


迷子の子犬のように怯える俺を一人残して相方は安らかに眠っている。

福井に入ってしばらくして運転を交代した。揺れる車中で眠ることなんてできないだろうと思いつつ横になった俺は、数分で意識を失ったのだった。

                           2日目へ続く。