ワタシゆんべ死にかけました。凍死で死にかけました。凍死だけに「とうしたの?」なんてお思いのアナタ、寒いですか? そりゃ寒いでしょう。でも昨夜の寒さはこんなもんじゃなかったんだってさ。
事のおこりは夜の10時過ぎにかかってきた友人からの一本の電話。
「風呂行く?」
「うん、行く」
別に如何わしい会話じゃなくてよ。銭湯ですわ銭湯。「どう? メシ」なんて言われても平日のそんな時間にゃ絶対外出しない俺は、風呂行く? に弱いの。暇だと一人で温泉行っちゃうくらい風呂好きなんですわ。ええ。
で、友人が迎えに来るというのでMYお風呂セットの準備しつつ待つこと数分、家の前でクラクションが鳴ったもんだから慌てて部屋を飛び出しちゃったんですねえ。ええ。
いやもう気持ちよかったですよ。平日の夜だから客もいないしね。
「ああ〜」とか「うう〜」とか言いながら広い湯船で足伸ばしてるとなんともいえん心地よさがあるね。なんか自分が働き者になった気がするもんね。一日の疲れを癒してんだよ、俺は。的な趣がねえ。頭にタオル乗っけて「ああ〜」ですわ。
んで小一時間程してポカポカして銭湯から出ると、冷たい冬の夜風がなんとも気持ち良いのです。もうTシャツにパーカー、しかもサンダル履きだったりしても全然オッケーてなもんで、澄んだ冬の星空を見上げながらのんびりとタバコに火をつけてね。さあ明日も頑張るか。なんて思っちゃったりして。
で、そのまま家まで送ってもらって友人の車を見送りました。後は布団に入ってグッスリ寝るだけ・・・ のはずが、家の鍵が閉まってんの。多分俺の車が駐車場にあるからもう寝ちゃってると思った親が閉めちゃったんだねえ。しかも鍵が無いでやんの。家の鍵。そりゃそうさ、俺持って出てねーもの。「あーやっちゃった・・・」なんて呟くあたりがまだ余裕ブッこいてますね俺。だって最悪携帯で家の電話鳴らして親起こせば入れるもの。って思ったら無いでやんの携帯が。いや焦ったねさすがに。でもこの時はまだどこかイッコくらい鍵開いてんじゃん? 窓とか。なんて思ってた俺はさしてパニックに陥るわけでもなく、ぼんやりと家の周りをうろついてみたんです。

開いてねえ・・・・

まだこんもりと雪の残る庭を、素足にサンダルでザクザク一周してみたんですが、当然ながら開いてる窓なんぞ一つも無く、その時になってようやく事の重大さが理解できるも時すでに遅し。冬をなめきってるとしか思えない軽装で携帯も持たず、しかもまだ書いてなかったけど財布も忘れて家出ちゃったんだよ俺。バカの見本市。
もう足の感覚は無くなるし風呂の余韻はとっくの昔に吹っ飛んじゃってるし寒いのなんのってそりゃもう俺遭難。自宅の庭で。みたいな? 遺品はちっさいカゴとシャンプーと石鹸とハブラシ。みたいな?って冗談じゃねー! と思った俺は必死で考えた挙句、家の呼び鈴を押すという一番確実かつ簡単な方法をすっかり失念していたことに気づいたのでした。
「助かる。これで助かる・・・」この時点で数十分。あり得ないほどバカな俺。

ピンポーン・・・・・・ 反応無し。

ピンポーン・・・・・・ 反応無し。

ピンポーン・・・・・・ 反応無し。

イラッときて思わず呼び鈴を連射する俺。ピッ・・・・ という音を最後に戻らなくなったボタン。
本気で泣きそうになりました。

で、結局どうなったかと言うと、軒下にあったなんに使うのかよくわからん棒で、2階にある両親の部屋の窓を叩いて起きてもらいました。下着泥棒みたいでした。「この阿呆が!」と言われました。スンマセン。自室に戻って凍えた身体をヒーターで温めてたら、呼び鈴のボタンが元に戻ったのか、ポーンて間抜けな音がしました。深夜1時20分の出来事でした。